熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
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松濤のマンションは三階建てだった。景観重視のためなのか高層マンションはなく、このあたりのマンションはだいたいこのくらいの大きさだ。しかし、戸建てもマンションも広々とした敷地におしゃれな外観や造りで高級住宅地らしい。実家の院田家のあたりとも、少し雰囲気が違う。

「築浅だし、綺麗なんじゃないかな」

内見をしながら、成輔は満足そうに部屋を見渡している。
広いリビングの他に三部屋、納戸もウォークインクローゼットもある。京都でひとり暮らし経験のある私から見ても、都内のこの立地でこの規模のマンションが相当な価格だろうことは想像がついた。

「ここなら、お互いの実家も近いし、職場も通いやすいね」

私は駅としてはいくつか遠くなるけれど、通勤はひどくは混まないし、実家の沿線だ。
成輔も車でも電車でも通いやすい立地だろう。

「もうちょっと狭くて安くて地味でいいよ」

私はぼそぼそと言う。分譲でこんないいマンションを買って、すぐに結婚生活が破綻したらもったいなすぎる。

「広い方が葵のためだと思うな」
「なんで」
「狭いとずっと俺がべったりくっついていることになるよ。自分のスペースが欲しい方でしょ」

それはそうかもしれないけれど、ここまで広くなくてもいい。
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