熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「よし、じゃあ葵が気に入る部屋をもう少し探そう。閑静な場所をと思ったけれど、もう少し便利な場所がいい? 六本木とか華やかな場所の方がいいかな」

駄目だ。おそらく成輔が次に持ってくる物件はここと同ランクかそれより上の都心ど真ん中のタワマンといったところだろう。
自分で会社を運営している人間は金銭感覚が違う。さらに私が気に入るようにと、もっと贅を尽くした部屋を紹介してきかねない。

「わかった。ここがいい。静かな地域は賛成」
「よかったよ。子育てにもいい地域だと思ってね」
「子どもは」
「要相談だったね。ごめん。聞き流して」

成輔は余裕の笑顔だ。包容力は間違いなくある。
私たちは一年後に結婚という約束で同居することとなった。双方の親に挨拶をし、新居を決めて引っ越しとなる。結納などは私がしなくていいと断った。
うちの両親は大喜び、成輔のお父さんも喜んでくれた。
成輔のお母さんは離婚し、彼が幼い頃に家を出ている。今も交流があるのか私にはわからない。

「じゃあ、ここで契約しよう。引き渡しはすぐにでもできるそうだから、家具が入り次第、俺は引っ越すよ」
「はや」

成輔のスピーディーな行動に思わずつぶやいてしまった。どんどん後戻りできなくなっていくのが不安。いや、結婚に了承したのは私だ。今更文句は言うまい。

「葵も早く引っ越してほしいな」
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