熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
棚の上には家族写真が並んでいた。
その中の一枚は、私と成輔と百合が映ったものだ。今から十年くらい前のもの。それこそ百合が成輔を好きだったと母が言った時代のものだ。
三人は笑顔だった。
もしかしてと思ったらやはりそうだった。写真立ての横にはプレゼントの箱が立てかけられてある。埃ひとつないということはいつも掃除されているのだろう。その箱の中にはハンカチが入っているのが透明の部分から見てとれた。ブランドもののハンカチ。覚えている。
私と百合が大学生の頃、成輔がくれたものだ。クリスマス時期に実家に帰っていて、プレゼントだよって。柄が違ったのは覚えているし、私がもらった方はこの数年の月日でどこかの荷物にまぎれて紛失してしまったけれど。

「百合、こんなに大事にとってあったんだ」

百合は成輔からのプレゼントを大事に持っている。数年経った今でも。

「どうして、私と成輔の結婚を応援しようとしたの? 百合……」

混乱していたし、裏切られたような感覚もあった。
百合はまだ成輔が好きなのだろうか。
成輔と結ばれるのは百合だったのではないだろうか。




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