夏が終わる頃に
「もうあやたん先輩が実質部長みたいなもんです
から。」
「花梨まで、、勘弁して。」
花梨は今年入ってきた1年生。しっかり者で、きっと次の部長は花梨かなって思ってる。
「悠也がもうちょっと部長として働いてくれたら嬉しいんだけど。」
「いや、あやたんいるから俺働かなくても大丈夫でしょ。」
「クイズばっかり作ってないでしっかりして欲しいもんだわ。」
「クイズ楽しいだろ。」
ぶつぶつ文句を言う咲良だが、人のこと言えないでしょという言葉を飲み込む。
悠也も悠也だ。いつもクイズを作ってばかりで進んで働こうとはしない。
頭がいいのか、悠也の話は難しいものばかりだし、よく分からないことだらけだ。
最近は悠也がよくちょっかいをかけてくるので、相手をするのが日常となってきている。
「ほら、喋ってないで早くやるよ。」
本番まで、1週間もないのだ。ダラダラやる訳にはいかない。
「あやたん先輩。まだ来てない人いますけど、いいんですか?」
「時間が無いからね。待ってたら日が暮れそうだし。」
「たしかにそうですね。」
正直言って演劇部は、やる気がない人のほうが多い。普段は部室でトランプやなんやらで騒ぐだけの活動だから、真面目にやろうとすること自体難しい。