完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「う、うるさいわねっ!? というか、今頃自分たちに都合いいように言いふらされてるかもしれないじゃない! どうするのよっ」
「俺と付き合ってください」
「だから私はどうするのかって……へ?」

“今、付き合ってって言われた?”

 
 突然の申し出に呆然とするが、私の方をまっすぐに見た彼の表情がすごく真剣で。

「事実じゃない噂なんてどうでもいいです。でも、俺たちが付き合ってるって噂は本当にしたいなって」
「それって」
「好きですって言ってるつもりなんですけど、どうですか」
「どうって、その」

 痛いくらい響く鼓動が、苦しくて、でもその苦しさが心地いい。


 彼に握られていた手を離し、彼の首に両腕を回す。
 背伸びしながら彼を引き寄せると、彼もそっと顔を近付けて。


「喜んで」


 初めて重なった唇が、思ったよりも熱く感じたのだった。
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