幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
●顎が決め手
「何読んでるんだよ?」
と幸太郎が声をかけると、やおら顔をあげて、少年は幸太郎とわたしを見た。
「答える必要ある?」
つっけんどんな言い方でその子は言う。でも、幸太郎はまったくひるむことなく、
「ある。俺が知りたい」
と言う。
わたしはその本の表紙を見て、正直戸惑っていた。
“全国の寺社仏閣全書”と書いてあったからだ。随分と渋い趣味だ。
もっとも当時のわたしにはそんな難しい漢字は読めないみたいで、
「この本、神社の絵が描いてある」
と呟く。
わたしがそう言うと少年もとい穂波君は、
「明日行く焔生神社も出てるから」
とこちらに水を向けてくる。
見た感じよりも、話しやすい子だと思った。
「ずりぃミサキには教えんのかよ!」
幸太郎がぶうぶう言うと、
「別に教えないとは言ってないし」
と穂波君は言う。
口調は淡白だけれど、決して冷たい感じではない。
やっぱり穂波君は穂波君なんだな、と思ったけれど――――。
「あ、和史君。久しぶり。明日お父さんの撮影楽しみだね」
説明を終え、やって来たわたしのお父さんが何の気なしに声をかけたが最後、
「は!?あんなの楽しみなわけないじゃん!ドッグブルーなんて一番かっこ悪いし!」
逆巻く怒涛のようにそう言って、立ち上がると二階へ上がっていってしまった。
わたしと幸太郎は呆然としてしまい、お父さんは、
「失敗したな……」
と呟いた。
どうやらお父さんのことは彼にとって禁句になっているようだった。
と幸太郎が声をかけると、やおら顔をあげて、少年は幸太郎とわたしを見た。
「答える必要ある?」
つっけんどんな言い方でその子は言う。でも、幸太郎はまったくひるむことなく、
「ある。俺が知りたい」
と言う。
わたしはその本の表紙を見て、正直戸惑っていた。
“全国の寺社仏閣全書”と書いてあったからだ。随分と渋い趣味だ。
もっとも当時のわたしにはそんな難しい漢字は読めないみたいで、
「この本、神社の絵が描いてある」
と呟く。
わたしがそう言うと少年もとい穂波君は、
「明日行く焔生神社も出てるから」
とこちらに水を向けてくる。
見た感じよりも、話しやすい子だと思った。
「ずりぃミサキには教えんのかよ!」
幸太郎がぶうぶう言うと、
「別に教えないとは言ってないし」
と穂波君は言う。
口調は淡白だけれど、決して冷たい感じではない。
やっぱり穂波君は穂波君なんだな、と思ったけれど――――。
「あ、和史君。久しぶり。明日お父さんの撮影楽しみだね」
説明を終え、やって来たわたしのお父さんが何の気なしに声をかけたが最後、
「は!?あんなの楽しみなわけないじゃん!ドッグブルーなんて一番かっこ悪いし!」
逆巻く怒涛のようにそう言って、立ち上がると二階へ上がっていってしまった。
わたしと幸太郎は呆然としてしまい、お父さんは、
「失敗したな……」
と呟いた。
どうやらお父さんのことは彼にとって禁句になっているようだった。