幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「本田さんが今好きになりそうな人がいるなら、話は別だけどね」
 そう言って穂波君は一瞬だけ探るような目をむける。
「……」

「俺はね、本田さんと一緒に老いていく夢があるから、いつでもオーケーだよ」
「い、いやいや、老いていくって!さすがにそれは、色んな段階すっ飛ばしすぎだよ!」
 わたしも穂波君もまだ高校生なのに、老いに照準を合わされても困る。

 わたしがそう言うと穂波君はこれまた楽しそうに笑って、
「あまり深刻にならないで、考えておいて」
 そう言った。

 それじゃ行こうか、と穂波君が路上へと出て行くのでわたしも後に続いた。

 『ミサキもさ、もうそろそろ恋愛面倒くさいとか言ってないで、告白されたら付き合ってみるくらいのスタンスで居た方が良いんじゃない?』

 穂波君の背中を見ながら、昨日麻美に言われた言葉がなぜか頭に浮かんでいた。
 穂波君は平気で好きと言うから、本気なのかどうなのか怪しいけれど、付き合うふりなら、やってみてもいいのかもしれない。

 そんな風に思ったのは多分、ちょっと疲れていたからだと思う。
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