幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!

●ひとまずの、休息

 そのあと、追ってきたみんなと合流した。

 目を覚ました松代君は、目の色も元に戻っていて、一見、龍にとり憑かれてはいないように見えたけれど。
よくよくみると、首のところに龍を模したような変な模様が出来ていて、みんなで苦笑いをしてしまう。

 何も知らなかった松代君に、事情を話すと、
「ならば僕は本田に近づかない方がいいかもしれない……」
 と悲しそうに言って、落ち込んでしまう。
 そしてそのまま、迎えに来た車に乗り込んで帰っていった。

 そのあとは、火恩寺君も含めた他の四人が、わざわざわたしを家まで送り届けてくれた。
 何かあったら大変だと言って。

 そうして、家の前に着いた別れ際に、幸太郎がわたしの名前を呼んだ。
「ん、何?」
 とわたしが言うと、奥歯にものがはさまったような顔をして、それから、
「戸締りしっかりしろよ!」
 と言う。

 直感だけれど、それが言いたかったわけじゃない気がした。
 そう思ったけれどみんなが周りにいたこともあって、
「りょーかい、また明日ね」
 そう言ってわたしは家に入っていった。
< 240 / 395 >

この作品をシェア

pagetop