幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「な、何でため息つくの?」
「本田さんの罪なところは、そのわけ隔てない突っ込みだね……」

「あ、それはちょっと分かるなー」
「まほりまで……」
「誰でも自分の言葉に反応してくれれば嬉しいもんね」

「押せばなびくと勘違いするな、俺は」
 穂波君が真摯な眼差しを向けてくるけれど……、
「重い男だね、穂波君」
 まほりが容赦なく切り捨てる。

「まほり、言いすぎ……」
 まほりの辛らつな言葉に、穂波君のそのつぶらな瞳に影がさしてしまう。
「ま、まあとにかく、山の上のほうに上がってみようよ」

「山中の案内なら任せてください!」
 意気込む火恩寺君と、
「本田さんは横堀第一だね……」
 ため息をつく穂波君。

 やっぱり、重い男かも……。
 穂波君はそんな感じだったけれど、松代君は松代君ですっかり黙り込んで違う意味で重い雰囲気をまとっていた。
 穂波君の背中の上で、物思いにふけっている。

 まあ、どこから見つけてきたのか、木の実を齧りながら。
 かわいいから、ま、いいか……。
 と適当に結論付け、火恩寺君の案内に従って、馬、ネズミ、蝶々と山登りをすることになったのだった。
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