幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
 わたしの言葉に、松代君は目を丸くする。
「僕のせいだと……?どういうことだ、説明を要求する」
 真っ直ぐな眼差しで松代君は見上げてくる。

 そんな真剣な松代君の様子を見ると、良心が傷む。
 今からわたしは、そんな彼を大いにもてあそぼうとしているのだから。

 そしてそれは、わたしの自身の心をもてあそぶことでもある。
 ごめん、松代君。それでも乗りかかった船だから……わたしはやるよ。

「説明が、聞きたいのか?後悔することになっても……?」
 “ここで含みのある調子で美咲(幸太郎)言う。”
「後悔?」

 “恐らくここで松代、動揺した様子を見せる。美咲、すかさず、攻める。”

「そう、後悔。どうだ?」
「どうと言われても困る。まずは用件を言ってもらわねば、判断しかねる」

「じゃあ、良いんだな……」
 “美咲はそう言うと、松代につめ寄る。”
 つめ寄るって具体的にどうすれば良いのだろう?近づいていけば良いのかな?
 と思い、松代君に近づいていく。

 おのずと脈拍数があがってくる。
「横堀……?」
「それじゃ教えてやるよ、俺はお前のことを――――」

 えーと、この先、何て言うんだっけ?
 手首の内側にまほりがかいてくれた台詞をカンニングする。

 “カバラ以上に興味があるんだ。つまり、大好きだ!”
 ……カバラって何?カバの複数形……なわけないよね。

 どうしよう意味が分からない。
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