幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「本当は、わたし、本田さんのこと嫌いになりたかったんだけどな……。なれない」
「それは、松代君がわたしのことをファム・ファタールって言っているのと関係があるの?」

「……」
 戸田さんは言いづらそうにして、目を逸らす。

「そういえばね。祭りのときの謎男先生の彫像、窓際に置いたら、開運だって聞いたんだけどー。お姉は彼氏が年齢を30歳も誤魔化していたのが分かって大喧嘩になるし、パパはわたしが誘拐されたって言って身代金要求されるし、ママは宇宙人詐欺に引っかかっちゃうし。何か運気低下してるんだ。何でだろう?」
「な、何で今そんな話を……?」

 というか、突っ込みどころ満載の運気の下がりかただ。
 何、宇宙人詐欺って……?

「開運したいなら、謎男先生を窓じゃなくて玄関に置かないと――――」
「え?戸田さん、何で謎男先生のこと知ってるの?」

 思わず戸田さんの顔を見ると、戸田さんはしまったという顔をする。
 まほりはその顔を見て、当たったね、と呟く。

「どういうこと?」
「ミサが話していた占いのおねーさんは、戸田さんだったってことだよ。わたしは実際には会ってないけど」
「占いのおねーさんって……。確かブッコミ占いの……」

 祭りの日にまほりがくじを引いたといっていた占いの屋台の看板には、そう書かれていた。
 でも、わたしがその名前を知ったのは、そのときが初めてじゃない。
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