幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「それに、いざとなったら、わたしが手習いの空手で何とかするから、ね?」
 戸田さんは、ぐっと拳をわき腹に寄せてみせる。

「戸田さん、空手習ってるんだ?」
「そうなの。お父さんの女こそ強くあれ、という教育方針で昔から道場に通っているんだ」

「ああ、どうりで……突きが強いと思った……」
 何日か前に味わった、あのみぞおちをえぐるような突きは忘れがたい。

「ごめんね。けど、あれは、内緒ね?武道家の風上にも置けないって、言われちゃうから」
 と戸田さんは悪戯に舌を出して見せる。

「まほり様が見えなくちゃうし、そろそろ行こう?」
「そ、そうだね」
 色々意外だらけな人だけれど、戸田さんが味方(?)になってくれたのは、心強いことなのかもしれない。
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