幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「ああ、残念。優しくしとめてあげたかったんだけど」
 怪しい笑みを浮かべる。
「何をする気なの……?」

 頭の芯が甘くとろけるような感覚がまだ残っている。
 これが魔法の力?

「父上へのお土産を考えていてね。奇妙な石は手に入れたものの、それだけじゃ物足りないだろ?だから、君を連れて帰ろうかと思って。見た目と中身が別人なんて、魔界でも中々お目にかかれないからね。素材が人間というのもいい」
 ある単語に引っ掛かりを覚えた。
 MAKAI。

「ときに穂波君、まさか魔界からやって来たなんて言わないよね?」
「その通りだよ。見聞を広めて来いと父上に言われて、やって来たんだ」

「ちなみに王子様だったりする?」
「君はどうしてそんなに俺のことに詳しいんだ?確かに、魔界では王位継承権第一位の王子だけど」
「……」

 まさか、数日前にまほりが言っていた話が本当になるとは思わなかった。
 どうしよう?と火恩寺君の方を伺うと、彼はわたし達のやり取りを、固唾を飲んで見守っている。

 かと思いきや……いなくなっていた。
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