幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
●化け物たちの戦い
魔法9日目(友引)
追いついたわたし達が見たのは、大きな白い袋を抱えた穂波君だった。
ずりずりと袋を引きずりながら、合宿所の廊下を闊歩しているところを見つけたのだ。
袋の中からは、
「痛い!」
「ずってる、ずってるぞ!」
と人の声が聞こえる。
プリンスが次から次へと生徒を袋の中に投げ込んで、お土産にしているのだ。
そんな様子を見た周りの生徒は、さぞかし驚いているだろう、と思えば……。
「きゃああ、何あれ!手から身体が生えてる!」
「き、気持ちわりぃ!」
「塩投げたらいいんじゃない?」
「悪霊退散!」
そう、わたし達のほうが遙かに化け物でした。
でも、さっきから道を行くたびに色々なものを投げられてきているので、こちらとしては、そういう反応にもいよいよ慣れてきている。
塩の代わりに投げつけられたスリッパを幸太郎が掴んで投げ返している間に、わたしはプリンスへと走りよる。
「プリンス!穂波君の身体と龍の玉のかけらを返して!」
「ああ、欠陥お土産さんたちか」
プリンスは、ゆっくりと振り向いて、こちらに手をかざす。