幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
 行く道々で、わたしは今朝の変な感覚について、幸太郎に話した。
 パンフレット、屋根、カレンダー、それぞれに感じる不思議な感覚についてを。

 気のせいだと一蹴されるかと思えば、幸太郎は妙に真面目くさった顔をして、
「屋根とか、カレンダーのことはよく分かんねーけど、パンフレットのことなら心当たりある、かな」
 そう言う。

「心当たり?」
 わたしが尋ねると、幸太郎は少し躊躇った様子を見せて、それから、
「ああ。うちのクラスに穂波和史っているだろ?あの映画のドッグブルー役って、あいつの父さんがやってたんだよ。俺たち、うちの父さんの関係であの映画の撮影の見学行ったことあるから。ミサキが見たことあるって思ったのは、それでじゃねーかな」
 そう教えてくれる。

「そういえば、そんなこともあったような気がする……」
 小学生くらいの頃に、お父さんたちと幸太郎と山のほうに、楽しいものを見に行ったという曖昧な記憶が、それとなく形をなしていく。

「それに、カズシのやつ、おじさんにどんどん似てきてる気がするしさ」
 ぽつりとそう言ってから、幸太郎は、頭を抱える。

「な、何してんのコータロー?頭痛い?」
「何で敵に塩を送るようなまねしてんだろう……って」

「わたしいつから、コータローの敵になったわけ?」
「いや、ちげーって。俺が言ってるのは――――」
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