俺さま御曹司元カレと強引な後輩くんのダブル溺愛に困っています。

言わないと伝わらない

 しかしこの人出の多さはどうだろうと、自分のことは棚に上げ、混雑している神社の境内を眺める。確か去年の初詣もそう思った記憶がある。

 去年の初詣は、わたしが一緒だったのはもちろん後輩くんじゃなくグループでもなく、別れた彼だった。

 ああ…切ないわ。でも…今年はどうして黒崎くんと初詣をしてるんだ?

「去年は…」
「ん?」
「去年は…彼と来たんですか」
「どこに」
「初詣です」

 まったくどうして、この子はわたしがまさに考えていることをタイミング良く聞いてくるのかな。

 まさか、顔に書いてあるとか。
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