俺さま御曹司元カレと強引な後輩くんのダブル溺愛に困っています。
「そうよ。別れた…振られた彼と来た。でもそれがどうしたの。ああ残念。小吉だった。黒崎くんは?」
「俺は大吉でした。それじゃあ、先輩は今、フリーなんですね」
「えー!大吉なんてすごいじゃない!わたしおみくじで大吉なんて出たことない」
「あの、先輩…」

 本殿までの道の途中にいくつかの小さな祠があり、そこを順番にお参りする。参拝客は本殿に集中しているので、その辺りは人気がなくひっそりしていたが、南向きだったので太陽の光でぽかぽかと暖かかった。

「きっといいことあるよ。何て書いてあった?」

 彼は折りたたんだ小さなおみくじの紙を広げ、めんどくさそうに読み上げる。

「ええと、探しも物はおのずと見つかる。下り坂を進むように何事も上手く行く」
「おお、すごい。それから?」
「思いを告白せよ。さすれば会うにつれ思いは深まり幸せな将来が待っている」
< 22 / 32 >

この作品をシェア

pagetop