許婚に内緒で合コンしたら、溺愛が始まりました。
プロローグ
「――今日もありがとうございました惟織さん」
夜二十時になった頃。私は、車から降りて玄関先まで送ってもらい惟織さんにお礼を言った。彼はいつもの如く「あぁ」しか言わない。だから私も一言挨拶をして家に入った。
玄関を開けると「おかえりなさいませ、凛玖さま」と家政婦の吉乃が待っていた。
「ただいま、吉乃」
「お荷物お持ちしましょうか?」
「ううん。ありがとう、大丈夫。部屋に行くわね」
それだけ言って私は部屋に戻ると羽織っているカーディガンを脱いでソファに寝転んだ。