エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 ぎくりとしたのも束の間、閉じかけていたドアが再び開き、苦笑する北斗が姿を見せた。

「セレスティアホテルの従業員は、エレベーターから客を締め出すのが仕事なのか?」

 皮肉たっぷりに言いながら、北斗が後ろ手に『閉』のボタンを押す。

 続けて、最上階の四十三階を押した。

「これでもう逃げられないな」

「どういうつもり……?」

 動き出したエレベーターに乗っているのは、私と北斗だけ。

 いくら中が広いといっても所詮はエレベーターだ。北斗と私の間には数歩の距離もない。

「君が逃げなければ追いかけなかった」

「あなたと話すことなんてないのに!」

 自然と声が大きくなっていた。

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