エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 そう言い捨てて北斗に背を向ける。

 これ以上、彼のつらい顔を見ていられなかった。

 そうしたのが私で、最後まで見届けるべきだとわかっていても、もう無理だった。

 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

 逃げるように、自然と歩く速度が速くなる。

 ――あなたを永遠に愛してる。

 北斗の前では隠しきった涙が、静かに頬を伝っていった。

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