エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「どうして〝口がうまい〟がキスの話になるの」

「口を使うことに変わりはないだろう?」

 唇をかすめた熱にぞくりとしたのを気づかれたくなくて、北斗を押しのける。

彼は悪びれた様子なく肩をすくめた。

「ルールが必要になりそうだ。――俺のキスを拒むな」

「どうしてキスなんて……」

 動揺を悟られたくないのに、勝手に声が震える。

 こんな短いキスでさえ、私の心を揺り動かすのだ。

 愛のない復讐のための結婚だと忘れ、自分からねだりそうになる。

「俺にされるのが嫌なら、君からするという手もある。どうする?」

「そ、そんなのわからないよ。私にどうしてほしいの……?」

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