『絶食男子、解禁』
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体が玄関内へと乱暴に引き寄せられた。
玄関ドアに押し付けられたつぐみの体は軽い衝撃を受け、脚の間に峻の膝がくい込み、どこにも逃げ場はないと言わんばかりに右手首がドアへと張り付けられた。

「言っとくけど、俺も、男だから」

色欲が孕んだ瞳。
真っすぐとつぐみの瞳を射貫き、もう片方の手がつぐみの腰を抱き寄せる。

普段はキュッと引き締まってるクールな口元が僅かに開かれ、スローモーションのように近づいて来る。
彼の滾る眼差しに、体の芯に言葉にならない疼きを感じて…。

耳朶を甘噛みされ、熱い舌先がたっぷりと耳を舐めなぞり、艶めかしい水音が辺りに響く。
つぐみは思わず甘い吐息を零した。

『女に興味がない』と言い切っていた絶食男子が、理性を手放し本能のままに求めるように。
『男は要らない』と豪語していた絶食女子が、封印していた女を再び目覚めさせたかのように。

愛おしむかのように重なる唇。
けれど、優しく啄まれたのは最初だけ。
貪るように熱い吐息と共に執拗に舌先が口内を蹂躙する。

「まっ、て」
「…今さらだろ」

やっとの思いで言葉を紡いだのに、容赦なく阻まれてしまった。

首筋へと這い下りてゆく唇。
リップ音を響かせ、軽く吸い上げながら。
甘い痺れのような刺激の波が次々と襲って来る。
つぐみの鼓動は今にも限界値を迎えそうだ。

普段はクールな表情が印象的なのに、今の彼からは余裕のなさが窺える。

「お願いっ、少しだけ……待って」
「俺をこんな風にさせたのは、お前だろ」

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