スーパー戦隊ヒーローズ1 剛球戦隊ケッセンジャー 見よ! 我らが青春の炎を!
 洋美はベーサーとの戦いが始まったことで自分に起きてきた変化を感じ始めていた。 (何かが違う。 何もしていないのに何かを感じるなんてどうしたんだろう?)
いつもと同じように兄の正弘と会話をし、いつもと同じように兄と同じ高校へ、、、。
そして、これまたいつもと同じように授業を受け部活でグラウンドへ、、、。

 いつもと同じように寛貴や仲間たちがキャッチボールをしてバッティング練習をしているのを見詰めている。
 「今年こそは地区大会を突破するぞ!」 元気のいい正弘の声が聞こえる。
「寛貴! 飛んだぞ!」 「え? うわーーーーーーーー、!」
「またまたトンネルか? しっかりしろよな!」 「ごめんごめん。」
 トスバッティングをしていた川村幸喜が舌打ちをしながら寛貴を見ている。
「悪い悪い。 洋美 ボールを投げてくれ。」 「しょうがないわねえ。 ちゃんと取るのよ。」
 洋美は待ち受けている寛貴にボールを投げ返した。
ズドーン! 「いてえなあ! 何するんだよ?」
「え? ふつうに投げただけだけど、、、。」
「嘘だろう? こんな剛速球 投げれるのか?」 「え?」
寛貴は慌てて洋美の所へ飛んできた。
「おかしいなあ。 洋美があんなボールを投げるなんて、、、。」
「じゃあさあ、俺に投げてみろよ。」 キャッチャー 野崎康太がミッドを構えた。
ポーン。 「あれあれ? 手を抜いたな?」
「これで精一杯なんだけど、、、。」

 その時、3人のケッセンバッヂが煌めいた。
「どうしたんだ?」 「ブルー、気を付けてくれ。 近くに怪人が居る。」
「何だって?」 「近くから怪人音波が出てるんだ。 はっきりとこっちでもキャッチしている。」
「分かった。」
 急な知らせを受けて3人は部活を抜け出した。
 「ところで怪人ってのは何処に居るんだ?」 「ピンクの体の中だよ。」
ニールが洋美を指差した時、洋美がいきなりケッセンピンクに変身してピンクバトンを振り上げた。
「うわーーーーーーー、いきなり何するんだよ? 下ろしてくれーーーーーーー!」
不意を突かれた寛貴は抵抗する間も無く空中へ浮かんでグルグルと回り始めた。
「やめろ! やめろってば!」
4人がかりでピンクを抑えようとするのだが、あまりの力に止めることが出来ない。
「寛貴! 取り合えず変身だ!」 キールの叫びで変身したまではいいが、、、。
 「揃ったようだな。 貴様たちを地獄に落としてやろう。」
ピンクの胸の辺りに怪人の顔がくっきりと浮かんだ。
「お前は、、、、。」 「貴様たちがどうあがいても俺様を止めることは出来ん。 思い知るがいい。」
 ブルーは意識を失いそうな速さで振り回されている。 「止めてくれーーーーーー!」
「もっともっと回れ! そのまま飛んでいけ!」
シルバーがピンクの腕を必死に抑えている。 「これじゃあ、どうしようもないぜ。」
ブラックも考え尽きたようにブルーを見詰めているのだが、、、。
「そうだよ。 フォーメーションバッヂクロスだ。 みんな! バッヂにエネルギーを集中してくれ!」
「フォーメーションバッヂクロス!」 「うわーーーーーー!」
 閃光が辺りを包んだ瞬間、怪人がピンクの体から転がり出てきた。
「貴様たち、覚えてろよ! 仕返ししてやるからなあ!」

 ブラックはベーサーブックを開いた。 「あれはカメレオンだな。」
「何だい何だい、マジシャンの次はカメレオンだって?」 「そうだ。 あいつは何にでも変身してしまう。 ということは、、、ピンクもどっかで成り済ましたブルーに会っているってことだな。」
 「成り済ましたブルーに?」 「そう。 だから体内に潜り込めたんだよ。」
 「何か覚えてないのか?」 「そういえば、、、。」

 洋美の話はこうだ。
 昼休みが終わってトイレに行った後、洗面台で手を洗っていたら、ポンと肩を叩く人が居た。 振り向いたらそれが寛貴だったのだ。
一瞬、金縛りに罹ったような変な感触が有ったが気にすることも無く教室へ帰ったというのである。
 「その金縛りが問題だよ。 その時にやつが体内に潜り込んだんだ。」 「そうだったのね?」
「俺たちだから何とか出来たけど一般人じゃ操られるだけ操られて死んじまいそうだな。」 正弘がふとニュースを覗き込んだ時、、、。
 「おいおい、こいつはあの高木康弘じゃないか。 何か変だと思わないか?」 「別に、、、。」
寛貴も画面を覗き込んでいるのだが、何がどうなっているのか分からない。 「おかしいな、、、。」
 「取り敢えず調べてみよう。」 「そうだな。」
 5人が街に飛び出して探索を始めた頃、、、。 「キング様、今度の作戦は思ったよりうまくいきそうですぞ。」
「ダイヤモンドよ。 ケッセンブルーは思ったより賢い。 油断するな。」 「それは十二分に分かっております。」
 「ベーサーキャットもベーサーマジックもケッセンブルーにしてやられたのだ。 必ずやつを倒せ。」 「畏まりましてございます。」
 「それにしても変だなあ。 ベーサーレーダーは確かに反応していたのに。」 「人間に潜り込んだんだ。 同化してしまえば分からないよ。」
「どうかして探せないのか?」 「くだらないギャグを言わないの。」
「ギャグじゃないってばよ。」 正弘と洋美が言い合っている最中、寛貴は奇妙なニュースを見付けた。
 「みんな、これを見てくれ。」 売れっ子アイドル 佐川尚が突然の心不全で急死したというのである。
「おいおい、まだ二十歳だろう? それで心不全は無いんじゃないのか?」 「確かにな。 絶対に起きないって保証は無いけど、、、。」
 「しかもさあ、喫茶店でコーヒーを飲んでて死んだって言うんだろう? 有り得ねえよ。」 「この事件を調べてみよう。」
「フフフ、やつらが動き出したようだな。 次の作戦を決行しろ。」 「了解しました。」
 現場になった喫茶店の周囲を調べてみる。 「証拠は残ってないな。」
「そうだな。 でもなんか嫌な予感がするぞ。」 「嫌な予感?」
「やつは変装の名人だ。 簡単には見破れない。」 「レーダーに映っていてもか?」
「それだって万全とは言えないよ。 誤って市民を撃ってしまったら、、、。」 「それじゃあ迂闊な攻撃は出来ないわね。」
 5人は収穫も無いままに基地へ帰ってきた。 「どうすればいいんだよ? これじゃあ手が出せない。」
「苦しんでいるようだな。」 「アンティーノス。」
「君たちに強力な武器を渡そう。 スポットショットガンだ。 これを使えば人間体に潜り込んだ怪人でも暴くことが出来るはずだ。」
「ありがとう。 さあ行くぜ!」 基地からホワイトワゴンで新宿の街へ、、、。

 ベーサーカメレオンは何処かに身を潜めている。 今は動きらしい動きを見せてはいないが、、、。
探索している5人は見えない敵を追い掛けている。 夕闇が迫ってきた頃だった。
 「ねえ、あの人さあなんかおかしいとは思わない?」 洋美が若い女を指差した。
同じような格好をした女が並んで歩いている。 「そっくりさんだろう?」
「違うよ。 影を見てよ。」 「どれどれ?」
正弘が二人の影をじっと見詰めている。 「確かにな。 左の女は影が横に延びている。」
 変身した正弘はショットガンを構えて狙いを定めた。 ビューン!
 「貴様たち、よく見破ったな。 生かしてはおかん。 やっちまえ!」 「そう来ると思ったぜ。 ブルーグローブ!」
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