アラ還は、もう恋しちゃだめなんですか?
「次の診察は8週間後で良いですか?
薬は同じので良いですよね? 
処方箋、出しておきますから」
患者の顔も見ないでパソコンに向かって話してる先生と、何時もと同じようなやりとりをしている。
アラ還の何も変化のない日々に戻っていた。

「ありがとうございました」って、言って立とうとした瞬間、意識がなくなった。
突然目の前が真っ暗になってしまった。
いつもと変わらない8週間前の診察で、
「次も8週間後で良いですね?」って聞かれて、
その時は何も思っても考えてもいなかった。
なんとなく「8週間後、誕生日なんですよね」って応えたら、
「それはお祝いしないと!」…って。
社交辞令だって判ってる。
たいした病気ではなく、ほぼメンテナンスのために通っている病院。
この歳になると薬を飲んでない人の方が少ないくらいだと思う。
医者も患者も緊張感なく、まるで井戸端会議のような掛け合いだった。

そんな掛け合いをして少し浮かれてしまっていたようだった。

バチが当たってしまった。
突然、主人が亡くなった。
元々持病があった人だけど、大したことはないと思ってた。
あまりにも呆気なく亡くなってしまった。
入院、お通夜、葬儀に四十九日。
悲しんでる暇などないほどバタバタして、
あっという間の8週間、
どうして過ごしたかも忘れてしまった8週間だった。
好きだったし悲しかった。
でもどうしてか、ただ両親が亡くなった時と変わらない気持ち。
愛してたつもりだったはずだけど、いつの間にか家族になって、家族愛に変わってたんだ。
そんな自分が寂しかった。
 
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