アラ還は、もう恋しちゃだめなんですか?
気がついたら、狭いベットで眠ってた。
診察室の隣の処置室で、点滴を打っていた。
「気がついた?」
もう午前中の診察は終わったのか、ベットの横のデスクで仕事をしていた先生が振り返った。
「ランチ行く?
昼からオペ有るからあまり時間ないけど。
誕生日でしょ」
すっかり忘れてた。8週間前、浮かれてたことを…。

「誕生日に病院内の食堂とは色気がないけど」って笑いながら、
それから前回の診察からの話をきいてくれた。
主人が亡くなったことを。

「じゃ、今フリーなの?」
頭の中が「??」でいっぱいになる。
この人は何を言ってる?
ふつう、『大変だったね』とか『ご愁傷さま』とかいろいろあるでしょ。
もうそんなに落ち込んではいなかったけど、豆鉄砲を食らったような顔をしていたと思う。

「実はさ、この年で一人でいると親がやけに心配しちゃって」
そんなこと知らないって!
「今までは一人で十分だと思ってたんだ。
責任感がいらないからね。
でも50を過ぎるとなんか親孝行をしたくなるというか…。
ねぇ、お試しでもいいし、たとえば、そう、かりに3ヶ月ほどお試しに付き合ってもらえないかなぁ。
今まで、医者とか後継ぎとかステイタスで寄ってくる女性はそこそこいたし、俺自体もあまり気にしなかったんだけど、なんかそういうの面倒になってきて」
この人は何を言ってるんだ。
まぁ判らないでもない。
確かにイケオジで医者、それに後継ぎとか御曹司。もてないわけがない。
ただ、軽い。異常に軽い。
ひきつった笑いを浮かべてると、「とりあえず、連絡先交換しよ。」
スマホを出してひらひらしてる。

とりあえず、交換…してしまった。

「また連絡する」と言って、日替わりランチを食べ始めた。
あっけにとられつつ、二人で無言で食べる。
業務連絡を終えて、黙々と食べるという感じで。
誕生日だからとプリンも付けてくれたけど。
忙しそうな彼にランチとプリンをご馳走になり別れた。
最近のバタバタした生活の中、久しぶりにほっこりあったかい気持ちになったような気がしたのは気のせいか?

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