まるごと大好き!
 自覚してからは、静波に意識してもらおうと努力した。勉強を教えてもらったり、重い物をかわりに持ったりして、あいつから〝がんばり屋で優しいやつ〟と思ってもらえるように、理想を目指した。
 だけどそれだけじゃ、あと一歩足りない。
 俺は、あいつと〝オトモダチ〟のまま終わりたくない。
 客観的な意見がほしくて廻に相談すると、

「さりげない〝ぼでーたっち〟が大切だ。あと〝カケザンヒキザン〟とかも大事だ」

 と腕を組んで大きくうなずいていた。
 ボディタッチとカケヒキだろ、と心のなかでツッコミを入れたが、たしかに一理ある。


「こないださ、芽衣里に少女マンガ見せてもらったんだけどな……」


 廻はそう言って、ヒロインと彼女が片思いをしてる男とのやりとりを教えてくれた。
 ヒロインはひょんなことから片思いしてる男とファミレスでテスト勉強をすることになって、緊張しながらもどんどん集中する。
 だけど、ふとした瞬間に男の手に自分の手があたり、顔が真っ赤になってしまう……。

「いわゆる〝脈あり〟のサインだな」
「そうか、ただわざとらしいとバレて怒られるやつか」
「そう! 大事なのは、“さりげなく”“自然に”だ」

 これは難易度が高い……。
 だからって、諦める気はまったくなかった。
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