まるごと大好き!
 言ってしまった。
 「これでよかったんだ」と思う気持ちと、「やっぱち言わなければよかった」と思う気持ちが頭のなかを回る。
 メリーゴーランドみたい。
 幼稚園くらいのときに家族で行った遊園地を思い出した。
 ただ、あのときみたいなかわいい木馬や馬車はない。
 後悔とか、辛さとか、そんな悲しいものばっかりだ。
 なにより昂志の反応が怖くて、私はとうとう下を向いてしまった。
 どうして黙ってたんだって、怒られるかな。
 すぐに言ってくれたら、こんなに時間をムダにしなかったのにって。
 昂志は優しいから、怒ったりはしないかも。
 それならいいやって、笑って帰ってしまって、明日にはかわいい彼女ができてるかもしれない。
 想像するだけで、涙が出てきそう。
 ギュッと目をつむった、そのときだった。
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