危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 すみれへの強い執着に改めて怖くなる。
 怖くなって、その場から去ろうとする。逆上させないようにゆっくりと距離を取る。

「待って、少しだけでいいからお願い。達也さんが会ってくれないの。あなたから話してほしい」
「私ももう別れたの。力になれなくてごめんなさい」

 すみれの腕を掴み、頭を下げる。相手のことなど微塵も考える余裕もないようだ。

「私本当に困っていて、あなたしか頼める人がいないんです」

 話していくうちに、マナの呼吸が乱れていく。マンション廊下の床にうずくまり、お腹を抑えて苦しそうに喘ぐ。
 過呼吸を起こしているのかもしれないし、そうでなくてもなにか体に不調があったら大変だ。
 
 ──お腹の子に悪影響があったら……。
 
「病院へ行かないと」

 廊下にうずくまるマナの背を撫でる。演技とは思えなかった。
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