危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
愛と許し

 すみれの手術が終わり、面会謝絶が続く間、一人で待つのがいたたまれなくなった蓮は、一人である場所へと向かった。

 春の訪れを感じさせる淡い日差しの中、すみれといつか行った海辺の街に両親の墓がある。海岸線に沿って歩いていくと、静かな波の音が聞こえてくる。

 ──今日は凪だ。

 両親の墓参りをするのは初めてだった。思い出すには辛い記憶で、そこに行くのは長い間ためらわれた。
 長い間真っ向から受け止められずにいた暗い感情を抱えていた。階段を上ると小さな墓地が見えてきた。見晴らしがよい。ここで両親が静かに眠っている。
[八神家]と書かれた墓石にそっと花を添える。

「遅くなってごめん」
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