危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

2章 脅迫

「脅迫状?」

 達也との婚約披露パーティーから数週間経ったある日。
父の部屋に呼ばれ、すみれに危害を加えるという脅迫状が届いたことを聞かされた。

「あぁ、よくあることだから真剣に気にする必要はないが、今は達也くんとの婚約で嫉妬や妬みを買いやすい」

 政治家という職業柄、脅迫状や怪文書が届くのは日常茶飯事だった。時に強引に政策を推し進める父は特に敵を作りやすかった。実際すみれも怖い思いをしたことが何度かある。
 
 家には父の雇った運転手が常にいたから高校までは車で移動するように言われていたが、最近ではもっぱら電車で移動している。
< 28 / 284 >

この作品をシェア

pagetop