危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
一章 華やかな婚約
「緊張してる?」
「少し。でも大丈夫」
婚約者である上條達也に問われ、宝来すみれは軽く頷いた。
今宵東京湾の上で行われる船上パーティーには、すみれと達也の婚約を祝うために300人の招待客が集まっている。
会場の扉が開くとすみれと達也にライトが当たり、思わず息を呑んだ。
主役であるはずのすみれはどうふるまっていいのか、まだわからずにいた。思ったよりずっと派手なパーティーに緊張で気持ちが張り詰めてしまう。
ゆるく巻かれた髪に真っ赤なイブニングドレスを纏い、ぎこちない笑みを浮かべすみれは頭を下げた。
二人は先日結納を済ませたばかりだ。結婚式は一年後の予定だった。
「すみれは心配性だから。なにかを憂いているより今この瞬間を楽しむことのほうが大切だよ」
緊張で固くなっているすみれの腰に達也が手を回し耳打ちした。すみれの内気な性格を気遣って、いつも安心させようとしてくれる。育ちの良さから来る彼のこういう鷹揚なところが、不安になりがちな自分には合っていると思う。
「少し。でも大丈夫」
婚約者である上條達也に問われ、宝来すみれは軽く頷いた。
今宵東京湾の上で行われる船上パーティーには、すみれと達也の婚約を祝うために300人の招待客が集まっている。
会場の扉が開くとすみれと達也にライトが当たり、思わず息を呑んだ。
主役であるはずのすみれはどうふるまっていいのか、まだわからずにいた。思ったよりずっと派手なパーティーに緊張で気持ちが張り詰めてしまう。
ゆるく巻かれた髪に真っ赤なイブニングドレスを纏い、ぎこちない笑みを浮かべすみれは頭を下げた。
二人は先日結納を済ませたばかりだ。結婚式は一年後の予定だった。
「すみれは心配性だから。なにかを憂いているより今この瞬間を楽しむことのほうが大切だよ」
緊張で固くなっているすみれの腰に達也が手を回し耳打ちした。すみれの内気な性格を気遣って、いつも安心させようとしてくれる。育ちの良さから来る彼のこういう鷹揚なところが、不安になりがちな自分には合っていると思う。