危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 医師である達也と、すみれが初めて出会ったのは検査のため訪れた病院だった。
 だが、偶然街中で声をかけられ交際に発展したのが半年ほど前。交際してしばらくしてから、彼の祖父が医師会代表を務める大病院の院長で、父の一番の支援者であることを知った時はいささか複雑な気持ちになったのを覚えている。
 
 達也にエスコートされ、紅い絨毯の上を歩いていくと二人に拍手が起きた。

「皆様、この美しい星空の下、船上にお集まりいただき、誠にありがとうございます。宝来すみれさんと上條達也さんの婚約をお祝い致しましょう!」

 司会が二人の馴れ初めや、両家の華麗な遍歴を大仰に語ると、会場からはため息が漏れた。
今をときめく政治家・宝来正道の娘と大病院の跡取り息子との結婚は、週刊誌でも話題になった。
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