危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

3章

疑心暗鬼

 結局一週間ほど入院し、退院前の診察で医師からは経過観察をしっかりすべきと釘を刺された。

 退院後も達也はすみれと結婚する気持ちは揺らがなかったようだ。
 すみれのほうは、本当にこのまま結婚していいものかわかりかねていた。 

 ──ご両親だって、孫を望んでいるかもしれないのに。

 すみれの父はあまり家を存続させることには興味がなく、ただ今自分がやりたいことを実現していくことに重きを置いていた。だが達也の親はどうかわからない。

 入院中も時々、非通知で着信があった。もう着信拒否をしていたが、通知は残るので気にはなっている。

 そんなもやもやを抱えていたある日。自宅の郵便ポストに切手のない手紙が入っていた。
< 71 / 284 >

この作品をシェア

pagetop