ファーストクラスの恋 ~砂漠の王子さまは突然現れる~
救いの神
確かに、私とハサンはお互いを名前で呼び合おうと約束した。
でも、一度たりとして体を触れたことはなかった。
それなのに、この急接近はなんだろう。

「やっぱり隣の席に移ろうか?」
「え?」
何を言っているんだろう。

私は状況が飲み込めないままハサンを見つめた。
一方頭一つ上から私のことを見下ろすハサンは、穏やかな表情で口元に微笑みを浮かべている。

「おい、誰だよ」
失礼にも顎でハサンを指しながら、不機嫌そうに私に聞く元カレ。

「えっと・・・」

一体なんて説明すればいいのだろうか。
そもそも私はハサンについて何も知らない。
何しろ数時間前に出会ったばかりなのだから、知るはずもない。

「友達かい?」
なぜだろう、ハサンの方も元カレの存在を無視して私に聞いてくる。

困ったぞ、この状況は凄く気まずい。
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