「みんなで幸せになると良いよ。」
気が遠くなりそうだったけど、刹那的な行動はすぐに解かれた。

『えへっ』とまた緩めた顔で舌を出し、後頭部を軽く叩いて笑っている。

「気色悪っ!どこぞのケーキ屋のマスコットか!」

帰りは上手く反応できた、なんて思っていると
『その通ぉ~~~~り!』と行きの電車で見せた「グッドジョブ!」の動作で返した。

ふるふると老人のように震えながら笑い声を待っている。

こういう馬鹿なとこが好きと言いたかったけど、これ以上言うのは軟派な感じがしてやめた。

電車のなかで何を話したかはあまりおぼえてない。
けど、たいしたことは話してない。
ひとつだけ覚えてるのは、

『明日は君があたしにキスをしたところで待ち合わせよう。』

「7時。」

という軽い約束のことくらい。



これが僕とヒイラギの最後の口約束。
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