「みんなで幸せになると良いよ。」
確かに薄暗い路地ばかりで怖かった。住宅街から少し入り組んだところに家があったんだけど、その途中は電灯すら満足にない路地ばかりだったの。
こんなことなら送って貰えばよかったと思ったときにはもう遅かった。

30歳くらいの男に羽交い絞めにされた。

「声出すと死ぬから。」

後ろから首を絞められて、体を触られた。『汚れること』を望んだのはずっと前で、今はただ鳥肌がたって体は凍り付いてしまったわ。

汚い息が耳に当たるたび背中に寒気がした。どうしていいのかわからず身を預けたままで少し放心状態だった。


「声出すと死ぬから。」


何度も言われた。
< 172 / 266 >

この作品をシェア

pagetop