「みんなで幸せになると良いよ。」
気持ちの悪いため息と一緒に気持ちの悪い言葉。体が震えているのが自分でもわかった。
意を決したわけじゃなくて、パニックになっただけなんだけど


『嫌ッー!助けてー!!』


これ以上でないくらい高い声で叫ぶと男は焦って私の頭を数回殴りつけた。


「待てこらぁ!」


地面を蹴りつけるような足音が近づいてくるのがわかった。若い男が猛スピードで向かってきて変質者を倒した。マウントポジションを取った若い男は変質者が動かなくなるまで殴った。

若い男の拳は血だらけで叫びそうになるほど怖かった。


「大丈夫か?名前は?送ってったる。」


感謝の言葉も涙も出なかったのに、動かない変態が気になった。


『し、…死んだの…?』


死んで欲しいけど、私の知らないとこで死んでって思ったの。残酷なのかしら。
若い男は言ったの。


「ノビてるだけ。30分くらいしたら起きるやろけど、殺す?」


次はこのひとが脅威に感じられた。だけど、その日は何もせず家まで送ってくれた。
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