「みんなで幸せになると良いよ。」
テレビの電源を切ると一気に静かになるワンルーム。
食事と風呂を済ませても12時にもなっていない。
鳴らない携帯電話を睨む。
お酒もタバコもない部屋は無音で時間が長く感じられる。

ため息も出ず、ステレオをリモコンで再生すると土着的なヒップホップがかかり、誰も見てない部屋でリズムにあわせ首を前後する。

変調になってうなだれてベッドに崩れる。
今日はなんか体が重い。

「明日も会える。」

にやけてしまう自分が可愛く思えるくらい、小さな幸せを感じていた。
沈んだ体は寝返りもうたず、深く夢に落ちた。

変な夢で今でも鮮度を落とさずはっきりと覚えている。

多分、このまま僕が死んだらこれを「走馬燈」って呼ぶんだろう。
覚えている限り

ノンフィクション。
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