「みんなで幸せになると良いよ。」
「連絡先くらいなら知ってますけど、あのひとサークル好きじゃないみたいです。」


できるだけ野田を遠ざけたいと思った一言にまだ食い下がる。


『えっ、なんで?椿ちゃんファン多いのに。モテてるのに。』


「とりあえず、ドラムの河合さんがキショいって。メールで口説かれてるっぽいっすよ。」


笑い話で済ませるつもりだった。野田の顔色が変わっている。


『あいつ、消したらきてくれるのかな?椿ちゃん。河合いらんことしよって。』


表情がかたいというか、ムッとした顔をしている。


「いや、来ないと思いますよ。サークルの活動自体好きちゃうらしいです。」


河合さんの件は野田にイラつきを与えた。僕が浅はかだった。


『椿ちゃん、俺の連絡先知ってるねんしメールくらいくれてもいいのにね。』


ふぅと軽いため息とともに笑った。


『若、椿ちゃんにたまには顔だしてって言ってな。よろしく。』


そういって野田は行ってしまった。

明るい声で次は女の子に話しかけている。

高い男の声が気持ち悪くさせるので

聞こえない場所まで歩いた。



野田 23歳。
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