「みんなで幸せになると良いよ。」

3.不細工な逃亡劇

大学には行かなくなった。
入ったときは希望とか、人生の選択までの4年間を楽しめる自信とかはあった。
だけど、今は違う。

もともと居なかった椿と出会ってしまったことで色んなものが素晴らしく映りすぎていた。
少し前なら笑える腹の立つ話になるであろう出来事も今では何も感じない。
会わなければ楽しいことの沸点はもっと低かったんだと思う。


大学の構内で、バイト先で、椿の住んでいたアパートに近い市場で
一緒に行った海で、そこに向かう列車、駅、映画、テレビタレント
紅茶の銘柄、作ってくれた料理、互いの友達、帰り道…

共有したすべてのものが僕を責め立ててる

そんな気がする。

「椿じゃなくなんでお前がこの街に残ってるのか」
問われている

そんな気がする。
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