「みんなで幸せになると良いよ。」

2.不器用な傷の付け方

「起きた?大丈夫やから。もう泣かんといて、お願い。」

『うん…あの、ごめんな…ありがとう。』

薄いタオルケットの中で服を着たまま、後ろから抱きついた僕が髪をとくようにやさしく撫でる。

キスもセックスもない。

いらない。

取り返しのつかないことをしてしまった。

僕が女々しく椿との思い出から逃げ回っている間にヒイラギは僕を必要としていた。
それを気付かず、気付く術もなく、ただのうのうと生きていた。

忙しいふりをして。

忘れたことなんてないくせに何事もなかった顔して「大丈夫。」と自分を慰めてた。
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