小児科医が甘え下手な看護師に愛を教えました
このPHSで呼び出された患者さんも重症で、私はバタバタしていた。

真くんのことを気にしながらも、今、目の前にある状況もいっぱいいっぱいだった。

少し落ち着いて、病棟のほうに戻ると

「立花、真くんの手術終わったよ。一応、成功はした。でも、今夜が峠だと思う」

「…そうですか。わかりました。少し様子見に行っていいですか?」

「うん、いいよ。俺も一緒に行く」

ICUに行くとご両親の姿は見えたが、悠くんの姿はなかった。


「松崎さん、悠くんは?」
私の心臓は嫌な音を立て始めた。

「…いないな。すいません、お母さん。悠くんってどこに行ったかわかりますか?学校に行きましたか?」

「え?悠…悠いませんか?私…何も聞いてなくて」

「そうですか、学校行ったのかな」

「あの!見に行ってきていいですか?悠くんのこと」

わからない、わからないけど、今動きなさないと後悔する気がした。

「え?」

自分で今言ってることが、訳わかんないことはわかってて、でも、急がなくちゃいけなくで、それっぽい理由を言ってみた。

「あっ…えっと…悠くんと約束してて、ちょっと会いに行かなくちゃいけなくて…えっと、だから…」

嫌な予感の方が先行していて今の状況をうまく説明できなかった。

松崎さんが、

「すいません、ご自宅に様子を見に行ってきてよろしいでしょうか?失礼なことを言っているのはわかってます。でも、急ぎみたいで」

ご両親は顔を合わせながら、

「あっ、じゃあ、お願いしていいですか?私たちも連絡が取れなくて…」

「ありがとうございます」

松崎さんも私の様子がおかしいとわかったのか、ご両親からの許可が下りたら、ふたりで病室を出た。
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