小児科医が甘え下手な看護師に愛を教えました
あれから、カルテの整理などが終わって、勤務交代の時間になったので立花を見つけて話そうと思ったら、ナースステーションにいなかった。

白川さんに聞いたら、院内にはいると情報をもらった。

色々探したけど、見つからなくて…俺が好きな景色が見える場所に行った。

「…あ、ここにいたんだ」

屋外の渡り廊下だった。ポツポツと雨も降っている。
俺の足音に気づいたのか声をかけられた。

「松崎さん、お疲れ様です」

「うん、おつかれ。ここの景色、俺好きなんだよね」

「いいですよね、晴れてたら夕日がきれいで」

「うん、でも雨降ってきたから中に入ろう」

室内に促そうと思ったら、

「…気づけなかったなぁ」

雨音に負けちゃうくらいの声で立花が言った。


「私にあの子、すごい似てるんです。繊細で感情表現が少し苦手な部分とか」

「そっか。だから、悠くんは立花に相談してくれたのかもね」

なるべく刺激しないように淡々と言葉を返す。

「だから、力にならなきゃいけなかった。あの選択肢を取る前に力をかさなきゃいけなかった」

「立花のせいじゃないよ、絶対」

「どうでしょう?あの気持ち、知っているのに傍観者になった」
横顔から何も感情を読み取れない。

「立花はできることはやったと思うよ。看護師として。そこから先は仕事じゃないよ」

「でも、私の二の舞にはなってほしくなかった」

「二の舞?」

「私も自殺しかけたことあったから。ほぼ同じ理由で。だから、痛いほど分かるんです」

そう話す立花は空を見上げて、でももっと遠くにあるものを見つめてるような、そんな表情だった。

「だとしても、今は回復を待とう。悠くんも真くんも」

今、立花の過去を聞くのは違う気がした。きっと彼女もそれを求めてない。

「そう…ですね。重い話になっちゃってすみません」

「ううん、中に入ろう。あ、でも足だけみせて。歩き方少し変になってるから、痛めたんだと思う」

「大丈夫です。もう帰るだけなんで。私も一応、看護師だし」

「そう?ひどくなったら言うんだよ」

少し、避けられたかな。

少しずつ心を開いてもらってるって思ったんだけど、今回の件で自分のこと重ねてまた、距離ができた気がした。


ただ、いつかは過去も全部、聞きたい。話してもらいたい。


一人で平気にならないでほしい。誰かを頼れるようになってほしい。




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