君が死ねばハッピーエンド
「彼女は朝、人よりも早く登校して教室や空き教室に入ったりしていない」

「なんでそう言い切れるの?」

「あの日、他校や外部からいらっしゃる来賓の方々との会議があったでしょう。教員達はいつもより早めに学校に来てたのよ。私も含めてね。教室の鍵を一番に取りに来たのはいつも通り委員長だったし、空き教室の鍵を取りに来た生徒も居ないわ」

「そんな…」

「じゃあ委員長が怪しいってこと!?」

「はぁ!?私じゃないわよ!」

「待って!私、委員長が鍵を開ける時、一緒に居たの。教室を開けた時にはもう棺は…」

静まり返った教室に、先生の声が響く。

「さて。これ以上、まだ彼女が犯人だと主張したい人は居る?」

「…」

「あなた達が一方的に一人を責めるのは、彼女が犯人じゃなきゃ困るからよね」

「私じゃなきゃ、なんで困るんですか」

「引き下がれないから。自分達が間違ってたって認めることが怖いから。冤罪で一人の人間を追い込んで、寄ってたかって袋叩き。正義感のつもりでやっていたことが、“イジメ”だったなんて思いたくないし、そんな恐ろしいこと、認めてしまえるほどあなた達は強くない」

「私達はただ…!シイナちゃん以外に疑わしい人が居なかったからそうとしか思えなくて…」

「話を聞くことはできたのに。“じゃあ違う人かもしれない”って考えることはできたのに。あなた達は今までの彼女がどういう人間であったかは全て無視して、都合よく、面白おかしく、彼女の心を壊した。たった一言、ごめんねって、私達が間違ってたって言ってあげることでどれだけ救われたか、どんなに怖かったか、あなた達に想像できる!?」

一人、二人、すすり泣くような声が聞こえる。

立ち上がっていた何人かの女子達が、力が抜けたみたいにストンと椅子に腰を落とした。

「じゃあ…ちーちゃんのことは…」

どこからか小さく弱々しい声がした。

その声に応えるようにちーちゃんはポケットから出した物を教卓の上に置いた。
< 53 / 156 >

この作品をシェア

pagetop