その推し、死なせません～悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う～

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　紙安改め、ステイシア・アロウマーク。
　波打つ黒髪に紫の瞳を持つ、『輝石喚ぶ大地』に悪役として登場する少女。

　それになった実感もわかないまま、紙安は着替えさせられ、ある場所に送られる。

　物語の舞台となる、フェルメイア王国立晶華学園。
　晶還士としての才能を示す者たちの教育機関を前に、紙安は溜息を洩らした。

（ほ……本物。ってことは私は本当に、物語の世界に転生しちゃったってこと？）

　ちなみに晶還士というのは、世にも鮮やかな宝石たちの力を引き出し、特殊な能力を使える才を持った人たちのこと。

　確かステイシアは黒曜石の使い手として、中盤まで主人公を苦しめる立場だ。

　ということは入学式のこの場にも物語のキーマンたちが揃っているはず。
　人波に従って移動し、講堂らしき建物で座席に着くと、紙安は辺りを見回す。

（……いた！）