茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
☆R18
「はる、と?! あっ……!」

ぼんやり白い視界が少し翳り、彼の口づけが唇にそっと落ちてきた。最初は軽く唇を食み、次に唇をそっと舌でノックされる。百子は口を僅かに開くと、陽翔は熱心に彼女の舌を貪った。

「ふっ……んん……」

陽翔が百子の甘い呻きごと奪いたいと思うあまり、それを受け止めている彼女が少し仰け反ってしまうのを見て、陽翔は彼女の舌を軽く吸ってから水音と共に唇を離す。銀糸が二人を束の間繋いだと思えば、そのまま溶けて消えてしまった。

「百子、そのまま俺の首に手を回してくれ」

百子は陽翔にしがみついた腕を緩めた。彼は腕を取り自分の首の後ろに誘導する。

「百子、しっかり捕まってろ」

彼の言葉と共に、ふわりと自分の体が宙に浮いて百子は小さく悲鳴を上げる。白の視界の向こうが一度翳ったと思えば、再び明滅して百子の背中は柔らかい感触でいっぱいになる。しかし彼の熱が遠ざかるので、百子は彼の腕を掴んで引き寄せる。陽翔の驚く声とともに、彼の体温が覆い被さって来た。

「離れないで……」

百子は陽翔の体にペタペタと触れ、背中らしきものを見つけてそこに手を回した。陽翔の重みと体温と、彼の心臓の鼓動や彼の匂いが百子の五感を刺激する。それにうっとりとしていると、焦燥に駆られた陽翔の声が耳朶を叩いた。

「くそっ……可愛すぎんだろ……! 煽るのが上手くなったな」

「ああっ!」

後半は耳元で囁かれ、百子は背筋がぞくりとした。そのままリップ音を耳元で立てられ、ぬるりとした熱いものが耳朶を這い回り、思わず背中に回した腕に力を込める。

「もう感じたのか?」

すると今度は陽翔の指が首筋をなぞり、パジャマの前が緩んだ。そのまま指が下に降りると思った百子だったが、陽翔の口づけが唇に降ってきて小さく声を上げた。

(だめ……いつもよりぞくぞくする……)

陽翔がタオルで目隠しをするものだから彼の指が、舌がどこに伸びるのかが見えず、明らかに彼に触れられた場所がいつもよりも敏感になっていた。自分の表情が彼に見えないのは結構なことだが。

「きれいだ、百子」

目元は見えないが、上気して桃色になった頬に桜桃のような唇、そして滑らかな喉のくぼみの下にはゆるく上下している白い双丘が陽翔の目線を釘付けにしていた。双丘の頂はすでに色濃くなって、陽翔を誘うようにつんと主張していた。
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