茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
「やっ! ふか、い……!」

百子はひたすら陽翔の腕にしがみつくが、彼が動くたびに何度も強い奔流を迎えたり、迎えようとするため、何度もその手を離しそうになる。それでも百子は陽翔を離そうとはしないので、彼はふっと笑い、百子が一番反応しているところに、淫靡な水音と共に自身を届かせた。

「むりぃ……おかしく、なっちゃ……」

「なれよ。おかしくなれ」

陽翔は百子の唇を自身の唇でふさいだ。その甘い言葉と声は陽翔の気分を高揚させるのには十分である。その声も味わえたらいいのに、と思いつつ、陽翔は激しく舌を絡めてきた百子に応え、彼女の口の中を蹂躙した。

「はじ……めて、だもん」

銀糸が二人の間を束の間繋いだのを見計らい、百子はぼそりと口にした。蕩けきって潤んだ瞳が陽翔を見つめ、どぎまぎしながら陽翔は言葉を紡ぐ。

「何がだ」

「こんな、に……きもち、いいの……はじめて、なの……」

陽翔は頭の中で何かが小さく爆発するような音を聞いた気がした。それと同時に熱杭がさらに膨張し、お互いの肌のぶつかる音と、結合部の立てる水音と、百子の甘い嬌声が部屋に響く。

「お前は……っ! 俺をこれ以上煽るな……!」

「しら、ない……っ!」

陽翔の加速した抽挿を受けて、百子に何度来たか分からないあの強い奔流が襲い掛かる。

「だめだ! 俺も……っく!」

「つれて、いって! 私も……」

ひときわ百子が大きく啼いたのと、陽翔の白い稲妻が弾け飛び、二、三度体を強く打ち付けたのは同時だった。陽翔はすぐに勢いを無くしかけた自身を引き抜いた。百子の小さな嬌声を聞きながら避妊具を取り去って口を縛って近くのゴミ箱に投げ入れる。百子はお腹に熱いものが弾けたような感覚の残滓に浸り、全身がふわふわとした心地に包まれながら、陽翔が自分を抱き締める光景をぼんやりと見ていた。彼が頭を撫でるので、ふにゃりと百子は笑って目を細める。彼はその後に唇を啄むように奪っていたが、彼女の細められた目はそのまま閉じられてしまった。陽翔が声を掛けても、その目が開かれることはない。

「百子……お前を一番愛してる。この世の誰よりも。だから俺から離れていかないでくれ」

百子から規則正しい寝息を聞いたのをいいことに、陽翔は彼女に向かって愛を囁き、上掛けを引っ張って彼女と自分に被せる。そして自らも微睡みに引きずり込まれるまで、彼女の頭を撫で続けていたのだった。
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