【短】made by……
とあるメイドと坊ちゃん
*
・゚
「失礼いたします。紅茶をお持ちいたしま──」
左手にゆらゆらと湯気を立てるティーカップの載ったトレイを持った奥山リミは、重々しい扉を開けた瞬間目に飛び込んできた光景に、思わず口を閉ざした。
夕方、学校から帰った天ヶ瀬充希に温かいアッサムティーを持っていくのは、彼の専属メイドであるリミの日課だった。
だがここ数年、こうして紅茶を運んだ際にちょくちょく同じような光景が見られるようになったのだ。
「充希くんっ! ねえ、もっとギュってして♡」
「ん? こう?」
「ああん、そっちばっかりズルい! ねえ充希くん、アタシも!」
「はは、しょうがないな。順番だよ?」
部屋の真ん中にある、革張りの大きなソファーに腰を掛けるのはこの部屋の主。
雪のように白い肌に、すっと通った鼻筋。フランス人の血を四分の一引いているからか、髪や瞳の色素は薄い。形の良い唇が弧を描けば、はっきりとしたえくぼができる。
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「失礼いたします。紅茶をお持ちいたしま──」
左手にゆらゆらと湯気を立てるティーカップの載ったトレイを持った奥山リミは、重々しい扉を開けた瞬間目に飛び込んできた光景に、思わず口を閉ざした。
夕方、学校から帰った天ヶ瀬充希に温かいアッサムティーを持っていくのは、彼の専属メイドであるリミの日課だった。
だがここ数年、こうして紅茶を運んだ際にちょくちょく同じような光景が見られるようになったのだ。
「充希くんっ! ねえ、もっとギュってして♡」
「ん? こう?」
「ああん、そっちばっかりズルい! ねえ充希くん、アタシも!」
「はは、しょうがないな。順番だよ?」
部屋の真ん中にある、革張りの大きなソファーに腰を掛けるのはこの部屋の主。
雪のように白い肌に、すっと通った鼻筋。フランス人の血を四分の一引いているからか、髪や瞳の色素は薄い。形の良い唇が弧を描けば、はっきりとしたえくぼができる。
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