恋はしょうがない。〜同僚以上、恋人未満〜






「仕返しなんて……、古庄さんはそんな下らないことを考えなくてもいいような人生を歩んできた人よ。だから、そんなつもりはないってことは解ってる。だけど、もっと早く……『本当は嫌だった』って打ち明けてほしかった……」


静香のその言葉を聞いて、古庄は自分の不甲斐なさに唇を噛んだ。


実は、古庄はずっと前から知っていた。
本当に人を好きになるというのは、どんなことなのか——。
何の見返りも求めず相手のすべてを無条件に愛して、信頼し合い支え合う想いが存在するということを……。


完璧すぎる容姿が災いして虚しい恋愛しか経験のなかった古庄に、それを体現して教えてくれた二人がいた。
同僚だった女性教師と教え子だった12歳年下の恋人——。
あの二人が想い合うように、古庄も深い愛を分かち合える相手に出逢いたいと、ずっと思っていた。


だが、真実の愛なんてそう簡単に見つかるものではない。それに引き換え、古庄の容姿が招く上辺だけの安易な愛は、絶え間なく押し寄せてくる。雑多なものに紛れてしまって、真実はいっそう見えなくなる。

いつしか古庄は、真実の愛が見つかるという希望さえ抱かなくなってしまっていた。



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