恋はしょうがない。〜同僚以上、恋人未満〜




「ここで古庄さんを責め上げて、説得して、しぶしぶ結婚してもらうほど私もみじめになりたくないから……。お互い様ということで、キャンセル料や指輪の代金は折半しましょう。キャンセルの手続きは私がします。後から金額と銀行の口座番号をお教えしますから振り込んでください」


その言葉を聞いて、ようやく古庄は下げていた頭を上げた。


「……了解しました。それでは、連絡を待ちます」


そう言いながら立ち上がる古庄に、静香も頭を下げる。


「古庄さん…。私の方こそ恥ずかしいことをしてしまって、ごめんなさい。これからも同じ教員同士だからどこかで会うこともあるかもしれませんが、〝知り合い〟として挨拶くらいはしてください」


古庄は頷くと、静香の両親に向き直って、また一礼した。


「大変不快な思いをなさったことと思います。誠に申し訳ございませんでした。これで、失礼いたします」


玄関までは静香が送ってくれた。靴を履き、ドアを開けて出て行く古庄に、静香も深くお辞儀をした。



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